「育児本によって色々なことが書いてあって何が正解か分からない。。」「せめて子どもに不利になることは避けたい。。」そう思う方は多いのではないでしょうか?
僕も間違った情報に振り回されないよう、ネットだけでなく本でも調べるようにしているのですが、今回はその中で少し面白かった本を紹介したいと思います。
今回紹介する本は「心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと」です。この本の中にはすぐ実践できそうな面白い話がたくさんあるのですが、今回は3つに絞って紹介していきます。
本の概要
この本は、心理学者である杉山崇さんが書かれたものです。著者自身の心理学の知識や、子どもの発達に関する科学的根拠を踏まえて実践的な内容がまとめられています。
さらに、科学的な話だけではなく【実際に心理学者や脳科学者が我が子におこなっている子育てメソッド】という観点からも紹介してくれているため、 「具体的にどうすれば良いの?」 という疑問に回答がされており、その日から実践しやすい内容が多いのが特徴です。
この本から学ぶ3つのポイント
1.3歳児神話には根拠がない
「3歳までの育て方でその後の人生が決まる」 なんて話を聞いたことがあるでしょうか?
結論から言うと、3歳児神話はほぼ迷信だと著者は述べています。
そもそも、3歳児神話の原点は
- 母親の愛情を極端に剥奪された子供たち(ネグレクトや暴力)
- 極端に刺激のない環境に置かれたラット
の追跡研究において、成熟後に社会性に問題があったことから来ているそうです。
その結果の解釈が歪曲されて、「3歳までは母親の手で育てるべきだ」「3歳までにしっかりとした教育をしなければ」というブームが巻き起こったようです。
脳のシナプスは、幼いころに活発に構築されていくという点は確かです。
しかし、その後赤ちゃんの脳は不必要な情報を削り、構築したシナプスの多くはその後失われてしまいます。
また、大きくなってからも脳のシナプスは構築されていくため、3歳児までに焦って詰め込む必要は無いと言えます。

脳や脊髄内の「神経と神経をつなぐネットワーク」のこと。 記憶力や学習能力に影響するとされている。
子育てについて、現時点ではっきり言えることは
- 必ずしも、母親が密着して子育をてする必要は無い
- 大人に愛されている、護られているという安心感を与えてあげるべき
ということです。つまり、、

2.脳の発達は段階をたどる
乳幼児の脳の発達は段階をたどることをご存じでしょうか?
ここでは脳の発達のことを説明していきますが、先に結論をいうと 「脳の成長が追い付いていない段階で、厳しくしつけをしても意味がない」 と言えそうです。
長い歴史の中、脳は形を変えるのではなく、新しいものが古いものに覆いかぶさるように進化を重ねてきました。そして重要なポイントとして、脳の成長はこの進化のプロセスをなぞって進むということです。

出典:病気が見える【脳・神経】
著者は、この脳の成長のプロセスを「4種類の動物」に例えて説明しています。
- ワニの脳:衝動、欲求、本能
- ウマの脳:乱暴、不安、好き嫌い
- サルの脳:他者への関心、社会性の発芽
- ヒトの脳:目的、戦略、抑制
それぞれ補足していきます。
- STEP1ワニの脳:「好き勝手」
- 面倒なことはイヤ。
- おなかが空いたから何か食べたい!
- 眠いから寝る。
今の快楽を求めることが唯一の行動原則。 0~1歳まではワニの脳をしっかり満足させてあげることが重要。
- STEP2ウマの脳:「好き嫌い」
- これは好き、こっちに来て~
- これは怖い!どっかいけー!
これからの快楽も求める。愛着に基づいたシンプルな社会形成が始まる。 1歳~3歳までは最もパワフルに活動。この時期に満たしてあげることが重要。
- STEP3サルの脳:「社会性」
- 仲間を助けよう。
- 俺の方があいつより上だ。
- 俺はあの人に好かれている。
形成された複雑な社会に対応できるようになる。 1歳を超えたあたりから徐々に出現し、青年期を通して成熟する。 たくさんかまってあげることが重要。
- STEP4ヒトの脳:「人間性」
- 物事の法則を発見する。
- 計画を立てる。
- 長期的な目的のために我慢をする。
2歳ぐらいから徐々に出現。「他者の心の推論」は2ー4歳ごろに伸び、「計画性」は早い子で6ー7歳、9歳から「イメージング」が大人に近づいていく。
このように、脳の成長は進化になぞって段階的に進みます。
すなわち、ワニの脳の段階である幼児が周りの環境に合わせたり、空気を読んでおとなしくすることは無理なのです。

答えは、ワニやウマの脳をたくさん刺激してあげることです。これらの脳を刺激することでサルやヒトの脳もより活発になってきます。
ワニやウマの脳を刺激する具体的な例は以下のものがあります。
- 手づかみ食べをどんどんさせる。
- じゃれつき遊び、くすぐり合いごっこをたくさんする。
ポイントは、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)が刺激されるような体験をさせてあげることです。複数の感覚が同時に刺激されるようにすると、感覚が統合され物事を認識する基盤ができあがります。
3.パパは完ぺきな子育てよりママを優先すべき
子育てを頑張るパパが増えたのは喜ばしいことですが、一生懸命のあまりママにダメ出しをするようなことはあってはいけません。
男性の場合、子育てに一生懸命になると「タスク達成」に夢中になりやすく、結果として相手の機嫌を気にする「サルの脳」が停滞しやすいそうです。

ママを優先すべき根拠を2つ紹介しておきます。
- ママが「パパに大事にされている」と思えると、その子どもは問題行動が少なく、情緒的に安定する。
- ママの育児ストレスが、子どもの知性や問題行動の有無に最も影響する。
このように、ママのストレスを減らすことが子育てには重要なのです。

と悩む、僕や僕みたいなパパは、以下のことを意識してみてください。
- 毎日少しでも/時にはがっつりママの話をだまって聴く。
- 時々でも子供を遊びに連れ出す。
- ママが実家に帰ったり、友達と会うのに協力する。

まとめ:愛情たっぷりに育てましょう
今回は書籍を紹介しつつ、子育ての重要なポイントを3つお伝えしました。
- 3歳児神話には根拠がない
- 脳の発達は段階をたどる
1.ワニの脳:衝動、欲求、本能
2.ウマの脳:乱暴、不安、好き嫌い
3.サルの脳:他者への関心、社会性の発芽
4.ヒトの脳:目的、戦略、抑制 - パパは完ぺきな子育てよりママを優先すべき
「今頑張らないと手遅れになっちゃうのでは!?」 という焦りを感じてしまいがちな子育てですが、この本では幾度となく「普通の子育て」を推奨しています。
心理学や脳科学として知っておきたいコツはあるものの、やっぱり最終的に大事なのは「親の愛情をたっぷり注いでやる」ことのようです。

この記事ではたった3つしか紹介できませんでしたが、本の中にはまだまだたくさんの具体的な根拠と方法が載っています。興味のある方はぜひ一度手に取ってみてください^^
ではまた。
▼奥さんを大切にした方が、やっぱり子どもには良いようです。

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